
カスドースは、460年前、平戸にポルトガル船が入港した折、基督教の宣教師らにより、カステラを始めとする様々な南蛮菓子の一つとして、その製法が伝えられました。
製法のあらましは、ひと口大のカステラ生地を卵黄にまぶし、煮立てた糖蜜で揚げ、グラニュー糖をまぶしたものです。
類似品は、近代に創製された水飴仕立ての一般的なカステラが用いられておりますが、本家では、伝来当初の古典的なレシピに基づいて、カスドース専用の生地を仕立て、糖蜜作りや揚げ方にも比類のない技法が伝えられております。
爾来、その製法は門外不出の秘法とされ、平戸藩主・松浦家の「お留め菓子」として、藩侯の茶點としての特命、もしくは献上のために限られて作られ、戦前までは一般にはその存在すら全く知られておりませんでした。
このように、長い歴史の片影にて連綿と守り伝えられましたカスドースには、奥深い気品と風格が自ずとして備わっており、これまでに数多くの賞賛を賜って参りました。 |